翼の色氣。


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日本に帰国する度、一抹の寂しさがおとずれる。過日、たまたま窓から翼を眺めていると、着陸まえの翼の折りが想像以上であった。翼後方が折り紙のように、下に垂れ、飛行機は高度を下げていく。翼上部も忙しい。空港が視界にはいってから、翼のうえにも空氣抵抗をつくるのである。

人生は着陸にこそ、色氣がある。

よく離陸のために勉学や経験を積まれる方を拝見するが、実はそのようなものが必要なのは、繊細な着陸のほうであろう。悩まれている暇があったら、ちゃっちゃと離陸されたほうがよろしい。