プノンペンの藝者。


photo 20160903 geishya

 Jazz Club Phnom Penhなる洒落たクラブが282通り沿いにある。音楽もさることながら、ステンドグラスから壁紙に至るまで描かれている絵が何より好きで、時折、一杯だけやりに通うようになった。店内のものを凡てひとりで描いたというポーランド人のMcKAYはそれほど英語が堪能なわけではないけれども、絵に対しての熱意はすさまじく、ポーランド語でもなんとなく何を云われているかわかる氣がする(笑)。

 店の壁には、巨大なカンバスにヴァイオリンやピアノを描いた油絵が五葉、それに抽象画ともうひとつ『藝者』の絵が加わる。筆のタッチがかなり他とは異なるが、これもMcKAYが描いたものらしい。髪には薔薇が挿されており、着物らしきものはない。私が「なぜ着物が着せないのだ」と訊ねると、「あわないからだ」と予想だにしないこたえがかえってきた。藝者に着物があわないとは、どういう料簡なのだろう。カンボジア風のドレスに、西欧風の薔薇を挿した藝者。私は最初、この絵の女が厭で仕方なかったが、幾度か眺めているうちに段々と氣にいっていった。やけに変な味があるのだ。おそらくウイスキーとジャズが手伝ってのことだとおもう。